NANA






NANA


 

 

第6話~後編~

 



レン「ノブ、おまえ俺らとバンド組まねぇ?」


ノブ「え?なんで?今のバンドは?」


レン「解散だよ解散。もーだめアイツら、やる気ねーんだもん。

まともに練習でねぇくせに文句ばっかタレてよ」

ヤス「おまえ中学の時 軽音でギター弾いてたんだって?

レンがノブは筋がいいのに このままやめたらもったいないって」

レン「おれはベース弾けるしベースやるから おまえギター弾けよ」


ノブ「やる!!」





レン「あ、でも一年半もブランクのあるやつが使いもンになるかねぇ」


ノブ「大丈夫だよレン!俺今でも毎日家でギター弾いてるし!

レンの曲なら全部マスターしてるし!近頃は自分でも作曲なんか

しちゃったりして」


レン「よし 決まり!」




ノブ「それで?それでボーカルは誰がやるの?」

レン「問題はそれなんだよな、出来れば女がいいなボク」


ヤス「そーねぇ、歌唱力はまあ人波でいいから

別嬪さんがいいな」


レン「ノブ!女だ!女調達してこい!」

ノブ「女ならレンの周りにいっぱいいるじゃん」

レン「バカ言え、俺が突っ込んだ女なんかメンバーにしてみろよ、

トラブルの元じゃねーか、いっとうしいだけだろ」


ノブ「そこに愛があれば大丈夫だと思う」

レン「愛だって」

ヤス「愛を笑うやつは 愛に泣くぞ」


       コンコン    ドアをノックする音

ノブ母「ノブオ お友達が来てるわよ。大崎さんこっちお通ししていいかしら」


ノブ「あ いいよ、通して」


レン、ヤス「大崎さん?女か?別嬪か?」


ノブ「あぁ、でも前に紹介した事あったじゃん」






ノブ「ナナだよ」






レンと二度目に会ったのは 潮風が肌に絡みつく

真夏の午後だった








ナナ「これ借りてたCDありがとう。じゃあ お邪魔しました」






ノブ「え?おいナナ」


レン「おまえら いっしょにカラオケ行ったことある?」

ノブ「へ?」

レン「あいつ歌うまい?」

ノブ「あぁ」


レン「よし決まり!」







あの日から あたしは レンが放つ引力で


高鳴る潮騒のようだった


胸が波立つ   高く 高く






レン「ナナ俺のバンドで歌って!」












溢れた想いが声になる






だけど あたしはレンのために 歌うことを決めたわけじゃない

あたしはあたしの為に


今日まで歌ってきたんだよ












ナナ「さては 引き止めに来たね? あたしがいないと寂しい?」

ノブ「行けよ、東京!俺も行くからさ!」




ナナ「何言ってんの?」


ノブ「東京で新しいメンバー探してさ、一緒にどこまでやれるか

試してみないか?そんな簡単にプロになれるとは思ってないけど

やってみる価値はあると思うんだ。俺、ナナの歌はいけると思う。

めちゃめちゃ上手いとかじゃないけど 独特のは好きーでかっこいい声だ

し、なんかそれに賭けてみたくなったんだ。。。


今更 他のボーカルでギター弾く気になれねぇんだよ」












ノブ「きっとヤっさんもそーだから。。。ナナがいなくなったら

足洗おうとか考えて。。。」






ナナ「あんたが言うなよ」


ノブ「えっ」



ナナ「ありがとう、ノブ。。。でも あたしは行かない。。。」



レンに言われたかった台詞を。。。


あんたが言うな




ノブ「なんで?おまえレンと離れちまって平気なの?

レンとはいっしょにバンド組めなくてもいっしょに暮らしゃーいーじゃん!」


ナナ「そんなことできないよ」

ノブ「ナナ大丈夫だよ、レンはおまえがついてっても邪魔に

思ったりしないって。あの女たらしが浮気ひとつしないんだから

マジにおまえに惚れてる証拠だよ」

ナナ「そんなのわかってるよ」

ノブ「わかってんなら いーけど」

ナナ「でも レンに抱かれることだけがあたしの人生じゃねぇんだ!」


ナナ「あたしも歌でメシが食えるようになりたい」


ノブ「だから 東京へ行こうって!」

ナナ「今やいや」

ノブ「なんでだよ」

ナナ「今行ったら きっとまたレンと暮らしちゃうもん、暮らさずには

いられないんだよ」

ノブ「だから 暮らしゃーいーじゃん」

ナナ「レンが超歌唱力のある女ボーカルの元でどんどん盛り上がってくのに

あたしはデビューのあてもなく、みそ汁作りながら

レンの帰りを待つんだよ。。。そんなのまっぴらだよ。。。

悔しいじゃない」






ナナ「だから あたしはもっと実力つけて レンがいなくても

自分の力でちゃんと歌えるんだって自信つけて。。。いつか必ず

一人で東京へ行く! 悪いけどそれまでこっちで付き合ってよ、ノブ。」

ノブ「俺のギター以外では歌いたくないか?」

ナナ「いや別に」






あたしがレンと結ばれたのは 出会ってちょうど一年目の

クリスマスの夜だった









ライヴの興奮が冷めなくて  打ち上げの帰り道

雪の積もった防波堤の上で ふざけ合ってはしゃいだ







あまりに突然で目を閉じるのも忘れた





死んでもいいと本気で思った

あたしはレンが欲しかったから

欲しくて欲しくてたまらなかったから


あの日からずっと



 



ナナ「バンド内で問題になるから 誰もナナに手を出しちゃいけないんじゃ

なかった?」




レン「大丈夫、ここに愛があるから」


ナナ「ほんとかよ」



すぐに二人で暮らし始めた。


レンはあたしに歌う歓びをくれた。

ギターを教えてくれた。

生きる希望を与えてくれた。


だけど あたしはレンのために何をしてあげられただろう。

このまま別に歌を歌えなくなっても レンといっしょに

東京へ行って レンのためにせめて毎日 ご飯を作って部屋を磨いて

レンの子供を産んで。。。そうするべきなのかもしれない

それだって充分すぎるほどの幸せじゃないか


家族のいないあたしたちにとって 安らげる家を作ることは

夢を叶えることより必要なはずなんだ








ノブ「荷物それだけ?」





レン「おう、俺にはギターと煙草さえあればいい」

ナナ「うそうそ、宅配便で全部送っちゃったんだよ。重いのいやだとか言って」




ノブ「これからは荷物持たず手下(おれも)いないしね」

ヤス「レンの付き人になるやつの苦労が目に見えるようだな」


ナナ「そろそろ時間だね。。。」



























レンと暮らして一年と三カ月。。。

まだ雪が残る春の始まり あたし達は終わった

さよならは言わなかった

だけど離れて暮らすことが 二人にとって致命的なのはわかっていた


電話や手紙なんて価値がない

抱き合えなければ意味がない

レンが言葉にできない寂しさを 夜毎あたしの中で

吐きだしていたのを感じていたから 誰よりも深く感じていたのに







メリークリスマス  ブラストです!





今でも時々 後悔する

レンのいないこの日常が全て夢の中の出来ごとに思えたりする







特にこんな雪の降りしきる夜は


こんな寒い夜は 誰かあの人を温めてあげてね










レンと別れて一年と九ヶ月

もうすぐ二度目の春が来る

三月の二十歳の誕生日には 頑張った自分にプレゼントを贈ろう


東京までの片道切符






to be contnued




(* uωu)ノ....ぉ⊃ヵゝяё様*:゚・☆ でした。


やっと漫画の一巻終了しましたε-(;ーωーA フゥ…



レンとナナに これからどんな運命が待っているのか。





まだまだ ナガークなりそうですが おつきあいのほど

★⌒(@^-゜@)v ヨロシクお願いしますぅぅぅ!!!






アンル


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