NANA






NANA


 

 

第6話~前編~

 



レンと暮らす この日常が全て夢の中の出来事に思えたりする


それまで卑屈に生きてきたあたしにレンは眩しすぎたから

どんなにあがいても未だに手が届かない気がするよ























ナナ「あたしもっと広いところでやりたいな」





レン「確かに狭いよなユニットバスは」


ナナ「そうじゃなくてライヴ。あんだけ客もついたし、もっと広い
ところで出来ないかな」




レン「あぁ、やってみれば?」

ナナ「そんな人事みたいに。。。」









ナナ「そーいやさ、ヤスが帰り際 言ってた話ってなに?」


ナナ「何か深刻な口ぶりだった。。。バンドのこと?」




レン「深刻なんだよ、十円ハゲは」





ナナ「もう いいよ、ヤっさんに聞くし。それよりあたし薬。。。」

レン「しょうがねえな、ジャンキーは」


ナナ「違うよ!ピルだよ!飲み忘れたらてーへんなんだよ!

いくら言ってもてめえが避妊しねえから!ガキが出来たらどーすんだよ!」

レン「産んで育てりゃいーじゃん。俺は高校も行かずマジメに肉体労働

してきたから結構金持ちだぜ。ガキの一人や二人全然平気」


ナナ「あんたが平気でもあたしが困る。今は子育てよりライヴがしたい」










レン「ナナ。。。」






レン「俺 東京行くから」









レン「おまえはおまえの好きに生きりゃいいさ」





























ノブ「東京?。。。って何で?ヤっさん大学は?やめるの?」



フォト

ヤス「だから 俺じゃなくてレンがね」

ヤス「ほら お前覚えてない?俺とレンが前のバンドやってた頃

よく一緒にタイバンしてたトラップネスト」

ノブ「トラップ?」

ノブ「あぁ!トラネス!あの異様に歌のうまいボーカルの女が

いたバンド!」





ヤス「一緒に酒飲んだり結構仲良かったんだけどさ、

2年位前かな、プロ目指すっつってメンバー全員で上京しちゃってさ

この度 メジャーデビューが決まったらしいよ」


ノブ「うそ!すげぇ!でも マジ うまかったもんな」

ヤス「ただデビュー決まったとたん いざこざがあって

ギターのやつが抜けたらしくてさ。。。メンバー全員一致の強い希望によ

り、レンにお呼びがかかったわけだ」






ヤス「レンは今朝からプロデューサーやらに会いに

東京へ行ってるけど ギターの腕はテープで認めてもらえてるし

顔見せみたいなもんだ、決まったも同然なんだよ」

ノブ「ちょっと待てよ」


ヤス「いやまだ上京したわけじゃないよ、明日にはいったんこっちに

帰ってくるから」


ノブ「でも 上京しちまうんだろ?じゃあ ブラストは?

俺たちはどーなんの?まだ結成して一年半じゃねえか!

せっかく波にのってきてこれかたって時に」


ヤス「心配するな、ベース弾けるやつなんかいくらでもいるから。

すぐ新しいメンバーが見つかるって」


ノブ「でも 何か納得いかねえよ、こんなの。。。

なんかすげぇ裏切られた気分だ」


ヤス「おまえレンがこんなシケた町でいつまでもくすぶってるのは

もったいないと思わねぇ?」


ノブ「じゃあ、俺らもレンといっしょに東京行ってプロ目指しゃーいーじゃん」

ヤス「悪いけど 俺は音楽でメシ食ってくつもりないから。

そんなバクチな人生はいや」


ヤス「それにたとえ俺らが東京行ったとしても レンはトラネスの

メンバーになるべきだよ。」


ノブ「何でだよ!」

ヤス「俺らがデビューできる保証なんかどこにもないし」

ノブ「頑張りゃいーじゃん」

ヤス「どんなに努力しても運のないヤツぁ ゴマンといるんだ」

ヤス「レンにはそうなってほしくないよ。せっかくツキが

めぐってきたんだ、何が何でもやるべきだよ」

ノブ「でも トラネスがデビュー決まってるっつっても売れるかどうかも

まだわかんねーし。。。」


ヤス「大丈夫、あのバンドは売れるよ。サウンドも見てくれも

華があるし、あれにレンが加わりゃ勝ったようなもんよ」


ノブ「でも!」


ヤス「しつこいな、おまえも東京行きたきゃ行けよ。でも レンの

邪魔はするな。大体 おまえ 寺島旅館の跡取り息子だろ。

だからこそ 就職決まんなくてものんきにしてられるんだろ」


ノブ「。。。。。」


ヤス「プロ目指すなんて 甘い夢見ないであと継げよ。

バンドは遊びでやりゃーいいじゃねえか」

ノブ「でも。。。俺はともかくナナが。。。レンは。。。ナナを

捨ててくつもりか。。。?」


ヤス「そんな人聞きの悪い言い方するなよ」

ノブ「連れてけよ!なんだよそれ。。。捨ててくとか連れてくとか

ナナはレンの飼いネコじゃーねーぞ」


ヤス「りっぱに自立した一人前の女だろ、いっしょに行きたきゃ

行くだろーよ。それはナナが決めることだ。レンもきっとそう思ってるよ」


ノブ「ヤっさん。。。あんたオトナだ」


ヤス「おまえがガキなのっ。でも ナナまで東京行っちまったら

さすがにブラストは解散だな。そしたら 俺はもう足洗うよ。

ちょっと名残り惜しいけど潮時だ。おまえは新しいバンド仲間でも

探せよノブ」

後編へ続く・・・



アンル


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